難しい改憲問題
結論を言うと、改憲問題は本当に難しい(滝汗)。
想いは皆同じだと思う。
3つがしっかりと約束されること。
これに反論する人はおそらくいないだろう。
理想をどのように守るかで、考え方に差が生まれる。
そして、違う考えの人をどこまで容認できるか、人によって違うから難しい。
自民党改憲案
自民党憲法改正実現本部のHPに改憲案が全文乗っているので、反対運動を行うのであれば目を通していただきたい。
「これに詳しい人が作ったチラシを読んだ」
理解していないものに反対するのでは、議論が成立しない。
この記事では、
現・日本国憲法と自民党改憲案でいくつかの比較を行っているので参考にしていただきたい。
前文
現行
改正案
大幅に簡略化されている。
国民主権、平和主義の説明が軽くなっている。
基本的人権の尊重が盛り込まれている点は評価できるが、後に述べる97条が削除されていることを考えると、安易に賛同できない。
9条
現行
非常に簡易的でありながらも、強い効力があると思われる。
改正案
私はもちろん、戦争には反対である。
武力ではなく政治と対話によって平和を維持すべきだが、世界事情はどうか?
他国から攻め込まれるリスクを考えれば、武力を放棄した平和がいかに難しいか、多くの人の心配も当然である。だからこそ、自衛隊なる武力集団を日本は既に持っている。戦争放棄は既に崩れているという考えにも一理ある。だが、自衛隊が国防軍となり、武力を行使する方向へ傾くのを私は望まない。
現在の日本において、有事の際に自衛隊の果たす役割は大きい。力の及ばない有事の際にはアメリカに守ってもらう?表向きはそうだが、果たして可能だろうか?
日本が自国を守るためにしっかりと武力を持つべきという意見にも一理はあり、武装放棄について私はどちらかに偏った意見を持てない。
いずれにしても、国民同士、国民の選んだ代表同士がしっかりと話し合って最良の選択がなされることを望む。
18条
現行
「いかなる奴隷的拘束も受けない」・・・これは非常に強い言い回しだが、日本に奴隷は居ないことを考えると、18条の内容が我が國に適しているとは言えない。
改憲案
こちらは確実に問題である。
社会的、経済的な事情で身体を拘束されない・・・これでは心や精神を拘束されることが起こり得る。そして、政治的理由では身体すらも拘束される可能性があることを匂わせる。
また、第二項の「その意に反する苦役」は、非常に曖昧な言い方と言わざるを得ない。
9条の国防軍の内容と合わせてみれば、日本国と国民を守るための戦いをすると決めた際には軍役に駆り出される可能性がある。政治的に決まった軍役では身体を拘束されることがあり得る。
20条
現行
政教分離の基本だが、既に現在守られていない。
改憲案
但し書きが付いたことにより、今までよりも政教分離に甘くなることは確実である。これでは改悪でしかない。
21条
現行
改憲案
改憲案では、制約が増えている。
「公益及び公の秩序を害する」という判断は誰が行うのだろうか?
この不透明さが悪い方へ転がると、今まで認められてきた自由に制約がかかることになる。これも改悪としか思われない。
64条の2(新設)
「国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み」?
まるで理解できなかった(笑)。自民党は政権与党を続けてきたから、自分たちの意志を國と置き換えているだけではないか?
それに、議会制民主主義に政党が不可欠の存在と私は思わない。しかも、公正の確保や健全な発展を放棄してきた自民党が何を言うのであろう。笑止!
98条99条(新設)
新設のここが一番問題だろう。
特に99条の3においては、
「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も~従わなければならない」
とある。これは緊急事態宣言の間だけとは言え、憲法の効力の一時停止を意味する。
また、「基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない」と書いてあるが、付け足し文のため、前文より効力が弱い。これでは基本的人権の尊重は、ないがしろにされてしまう。
97条削除
「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」という言葉は日本の歴史に適さないが、これを削除する必要は無い。自民党改憲案が国民の権利を軽視する方向にあるからだ。
結論
この記事では取り上げなかったが、13条なども「全て国民は、個人として尊重される」が、「人として尊重される」に変わっており、国民一人ひとりの尊厳が軽視されている。
改憲に反対する人が増えること、心より強く望む。
現在の私は、改憲反対運動に限らず、氣まぐれでしか反対運動を行わない。独自の判断で自身の活動をしている。私の活動に非協力的な人から一方的に団結を求められても困惑する。
私の意見
最後に、改憲問題に関して言いたい。
私はこの記事の通り自民党改憲案には反対だが、次のように考える。
・現代語に合わない日本国憲法は変えるべき
・日本の歴史と合わない条文は適切に削除すべき
・戦争放棄を言いながら自衛隊(武力集団)を抱えている矛盾は解消すべき
・他国から侵略されないために強い日本であるべきで、先の大戦後に創られた憲法を改正するのは必要
改憲は、信頼できる政治体制の下で慎重に進められるべきだが、そんな時代は永遠にやって来ない氣がする(笑)。自民党によって改悪されるなら、現行憲法を維持した方がはるかに良い。だから、私の改憲希望はブログ内の駄文で終わる。
こういった私の考えを、改憲賛成か反対かの二択で判断されるのは迷惑である。
白と黒の間にはグレーがある。グレーは無数にあるが、白と黒しか理解したくない人たちには、私の考えは理解してもらえないかもしれない。
0と100しかない白黒二元論者とは会話が成立しない。そういう人たちが私の考えをどう批判していても関心は無い。